2015年06月13日

第2課−2 avoir

2.【avoirアヴォワール】 持っている =have

 これは不規則動詞です。辞書に載っている形を原形(不定形)といいます。しかし実際に文の中で動詞として使われる時(不定詞以外)は、主語に合わせて形が変わっています。これを活用といいます。
 動詞の活用を覚える時は、必ず主語代名詞とセットで覚えます。
 覚え方は、まず、順番に唱えながら何回も書きます。次に、暗唱します。次に、「動詞活用万能シート」で主語ランダム版を練習しましょう。
〜avoirの直説法現在の活用〜(「直説法現在」とは、「普通の現在形」だと思ってください)
j’ai ジェ nous avons ヌザヴォン
tu as チュア vous avez ヴザヴェ
il a イラ ils ont イルゾン
elle a エラ elles ont エルゾン

[注意]
・ j'aiというのは、je aiがエリジオンした形です。
・ 「イラ」「エラ」とつなげて読むのはアンシェヌマン。
・ 「ヌザヴォン」「ヴザヴェ」「イルゾン」「エルゾン」とつなげて読むのはリエゾンです。

Ex 2-1 次の意味になるavoirの活用を書きましょう。
a) 私たちは持っている b) 彼は持っている
c) きみは持っている d) 彼女らは持っている
e) 私は持っている f) 彼らは持っている
g) あなた方は持っている h) 彼女は持っている

Ex 2-2 ランダムに読まれる活用を聞いて書き取りましょう。
a)
b)
c)
d)
e)
f)
g)
h)


Ex 2-2 解答
a) vous avez
b) elles ont
c) j’ai
d) il a
e) nous avons
f) ils ont
g) tu as
h) elle a


Ex 3-1 第1課で習った冠詞を使い、例にならって作文しましょう。
例) きみ/携帯portable (m) → Tu as un portable.
a) 彼女/バッグsac (m) b) 私/眼鏡lunettes(いつも複数)

c) 彼ら/子供enfant (m) d) 私たち/家maison (f)


Ex3-2 「〜をもっています」という文を聞いて書き取り、訳しましょう。
a)
b)
c)
d)


Ex3-2 解答
a) J’ai un cahier. 私はノートを持っています。
b) Tu as une gomme? 君は消しゴムを持っていますか?
c) Nous avons un chien. 私たちは犬を飼っています。
d) Il a des lunettes. 彼はメガネをしています。

第2課−1 主語人称代名詞


<第2課>

1.主語人称代名詞

 英語のIやweなどのように、フランス語にも主語人称代名詞があります。
 8つ、必ずこの順番(je, tu, il, elle, nous, vous, ils, elles)で覚えてください。

je ジュ・・・私は nous ヌ・・・私達は
tu チュ・・・君は vous ヴ・・・あなたは、あなたがたは
il イル・・・彼は、それは ils イル・・・彼らは、それらは
elle エル・・・彼女は、それは elles エル・・・彼女らは、それらは

[注意]
・ tuとvousの使い分け
tu・・・単数、親称(家族や友人など親しい人に対する、カジュアルモード)
vous・・・複数では必ずこれ。単数でも敬称の時(ていねいなとき)
・ 3人称のil, elle, ils, ellesは人でもモノでも使う。フランス語の名詞は男性・女性に分かれているためこれが可能.

Ex 1-1 次の意味になる主語人称代名詞を書きましょう.
a) きみは b) 彼らは c) 私は
d) 彼女は e) 私たちは f) あなた方は
g) 彼は h) 彼女らは

Ex 1-2 主語人称代名詞を聞いて書き取り、意味を書きましょう。同じ発音のものは二つ書きましょう。意味が単数・複数・人・ものなどあるものはその区別も書きましょう。
a)
b)
c)
d)
e)
f)


Ex 1-2 解答
a) tu 君は
b) nous 私たちは
c) il / ils 彼は/彼らは/それは/それらは
d) je 私は
e) vous あなたは/あなた方は
f) elle / elles 彼女は/彼女らは/それは/それらは

2015年06月05日

第1課ー5 提示の表現(1)

3. 提示の表現(1)

・ Voici(+不定冠詞、定冠詞)「ここに〜があります」
・ Voilà(+不定冠詞、定冠詞)「そこに〜があります」
・ C’est(+単数・不・定)「これは〜です」
・ Ce sont(+複数・不・定)「これらは〜です」


(1) Voilà〜. 「ほら〜です。」「そこに〜があります」/Voici〜「ここに〜があります」
Voilà un taxi. ヴォワラアンタクスィ 「ほら、タクシーです」(何でもいいから1台きたから不定冠詞)

!VoiciとVoilàは、二つのものを対比させる時にVoiciが近い方、Voilàが遠い方を表す。ひとつのものを「ほら」と提示する時には、Voilàを用いる。日本語の遠近の感覚と完全には対応しないので、注意

Ex 5-1 作文しましょう。
a) ほら、教会です。

b) ここにワインがあります。そちらにビールがあります。


Ex 5-2 最初に、1つの単語が綴りで読まれ、次にそれを含む文が読まれます。全体を聴いて書き取り、意味を書きましょう。



a)

b)



Ex 5-2解答
a) Voilà un arbre. ほら、木があります。
b) Voici du café. Voilà du lait. こちらにコーヒーがあります。そちらに牛乳があります。


(2) C’est +単数(=This is〜)
C’est un appartement. セタナパルトマン これはアパートです。・・・未知のものを初めて提示しているから不定冠詞
C’est l’appartement de Paul. セラパルトマンドポル これはポールのアパートです・・・「ポールの〜」と、特定化されたから定冠詞

Ce sont +複数(These are〜)「これ(ら)は〜です」
Ce sont des chaussures. スソンデショスュール これらは靴です。
Ce sont les chaussures de Marie. スソンレショスュールドゥマリー
  これはマリーの靴です。

Ex 6-1 作文しましょう。
a) これは消しゴムgomme (f)です。これはマリーMarieの消しゴムです。

b) これらは子供達です。これらはSylvieの子供達です。


Ex 6-2最初に、1つの単語が綴りで読まれ、次にそれを含む文が読まれます。全体を聴いて書き取り、意味を書きましょう。



a)

b)



Ex 6-2 解答
a) C’est un cahier. C’est le cahier de Paul.

b) Ce sont des lunettes. Ce sont les lunettes de Marie.


#おまけ☆もっと使えるC’est〜.
 C’est〜. は、いろいろ使い回せるとても便利な構文です。そのまま覚えて役に立つのは例えば:

+形容詞
C’est bon. セボン「おいしい」 C’est bien. セビアン「いいね」
C’est super. セスュペール/C’est génial. セジェニアル「すごい」(若い人の表現)
C’est agréable. セタグレアーブル(場所などが)「気持ちいい」
C’est magnifique. セマニフィーク「すばらしい」

2015年06月04日

第1課ー4 冠詞のまとめの練習問題

〜冠詞のまとめの練習問題〜
Ex 4-1 不定冠詞は定冠詞に、定冠詞は部分冠詞にして全体を書き換えましょう。意味も調べましょう。
a) le café ( ) ( )
b) des filles ( ) ( )
c) un arbre ( ) ( )
d) la patience ( ) ( )
e) le poisson ( ) ( )
f) une jupe ( ) ( )
g) l’essence ( ) ( )
h) le fromage ( ) ( )

Ex 4-2 単語が綴りで読まれ、次に何らかの冠詞をつけて読まれます。全体を聴いて書き取り、単語の意味を書きましょう。



a) ( ) [ ]
b) ( ) [ ]
c) ( ) [ ]
d) ( ) [ ]
e) ( ) [ ]
f) ( ) [ ]
g) ( ) [ ]
f) ( ) [ ]


Ex 4-2 解答
a) la banque
b) un cahier
c) de la bière
d) l’hôtel
e) des sacs
f) les arbres
g) de l’essence
h) le fromage

第1課ー3 部分冠詞

<部分冠詞>
使い方・・・・「数えられない」ものについて「いくらかの」分量や程度を表す。

男性単数・・・du デュ du vin デュヴァン「ワイン」
女性単数・・・de la ドゥラ de la bière ドゥラビエール「ビール」
母音の前で・・de l’  de l’eau ドゥロ「水」
定義上、複数はありません!

液体は容器に入れて、塊はスライスして便宜的に数えているにすぎない。お金も単位を数えているだけ。あと、抽象的な物も程度が感じられれば部分冠詞がつけられる。
例)du courage 勇気 de la monnaie 小銭

Ex 3-1 部分冠詞をつけましょう。
a) ( ) pain (m)パン
b) ( ) viande (f)肉
c) ( ) argent (m)お金

Ex 3-2辞書を引き、( )に部分冠詞をつけ、[ ]に名詞の意味を書きましょう。
a) ( ) lait  [ ]
b) ( ) confiture [ ]
c) ( ) beurre [ ]
d) ( ) air [ ]

Ex 3-3 単語が綴りで読まれ、次に冠詞をつけて読まれます。全体を聴いて書き取り、単語の意味を書きましょう。
!母音で始まる名詞の前では、リエゾンやアンシェヌマンがおきます。



a) ( ) [ ]
b) ( ) [ ]
c) ( ) [ ]
d) ( ) [ ]
e) ( ) [ ]
f) ( ) [ ]


Ex 3-3 解答
a) du vin ワイン
b) de la monnaie 小銭
c) de l’eau 水
d) de la confiture ジャム
e) du beurre バター
f) de l’argent お金

2015年06月03日

第1課ー2 定冠詞

<定冠詞>
使い方・・・・「既に分かっている」「特定化されている」「あるものの全体を表す」
男性単数:le ル le livre ル・リーヴル「本」
l’appartement ラパルトマン「アパート」
女性単数:la ラ la maison ラ・メゾン「家」
l’école レコール「学校」
複数:les レ les livres レ・リーヴル
les appartements レザパルトマン
les maisons レ・メゾン
les écoles レゼコール
!le, laは、後ろに母音または無音のhで始まる単語が来ると、エリジオンします。

Ex2-1 定冠詞をつけましょう。
a) ( ) cahier (m)ノート b) ( ) banque (f)銀行
c) ( )hôtel (m) ホテル d) ( ) chaises (f)椅子

Ex 2-2 辞書を引き、( )に定冠詞をつけ、[ ]に名詞の意味を書きましょう。
a) ( ) pantalon  [ ]
b) ( ) lunettes [ ]
c) ( ) cravate [ ]
d) ( ) ordinateur [ ]

Ex 2-3 単語の単数形が綴りで読まれ、次に冠詞をつけて読まれます。全体を聴いて書き取り、単語の意味を書きましょう。
!母音で始まる名詞の前では、リエゾンやアンシェヌマンがおきます。
!冠詞を聞いて単数か複数かを判断。必要に応じてsをつけます。

Ex1-3#.m4a

a) ( ) [ ]
b) ( ) [ ]
c) ( ) [ ]
d) ( ) [ ]
e) ( ) [ ]
f) ( ) [ ]





Ex 2-3 解答
a) la chaise 椅子
b) les livres 本
c) le pantalon ズボン
d) l’école 学校
e) les hôtels ホテル
f) l’ordinateur パソコン

2015年05月28日

第1課ー1 不定冠詞

<第1課>

1. 名詞の性と数
フランス語の名詞は、男性名詞と女性名詞に分かれています。
(話し手が男性か女性かには関係ありません)
この区別はラテン語から継承されているもので、語尾の形からだいたい分かるものの、辞書を引き、冠詞をつけて覚えるのが一番です。
およその目安:
男性名詞は-e以外で終わるものが多い(-age, -aire, -ismeは男性名詞。その他当てはまらないものも多い)
女性名詞は-e, -ion, -té, -aisonで終わっている

 どの名詞も、基本的には単数形にsをつけることで複数形を作ることができます(例外的なことは後述)。


2. 不定冠詞、定冠詞、部分冠詞
 特定の用法以外、フランス語の名詞が、文中に無冠詞で現れることは、稀です。
・ 英語のa, anにあたるのが「不定冠詞」
・ theにあたるのが「定冠詞」
・ 数えられないものについて、「いくらか」の分量を表すのが「部分冠詞」。
 どれも、つく名詞の性数によって形が違います。
  
<不定冠詞>
使い方・・・・「数えられる」「未知のものを提示する」「特定化されていない」
男性単数:un アン un stylo アン・スティロ「ペン」
un enfant アナンファン「子供」
女性単数:une ユヌ une voiture ユヌ・ヴォワチュール「車」
une église ユネグリーズ「教会」  
複数:des デ des stylos デ・スティロ
des entants デザンファン
des voitures デヴォワチュール
des églises デゼグリーズ

Ex1-1 不定冠詞をつけましょう。(以下、m: 男性名詞、f: 女性名詞)
a) ( ) fleur (f) 花
b) ( ) billet (m)切符
c) ( ) avions (m)飛行機

Ex 1-2 辞書を引き、( )に不定冠詞をつけ、[ ]に名詞の意味を書きましょう。
a) ( ) livre  [ ]
b) ( ) chaussures [ ]
c) ( ) fenêtre [ ]

Ex 1-3 単語の単数形が綴りで読まれ、次に冠詞をつけて読まれます。全体を聴いてかき取り、単語の意味を書きましょう。
!母音で始まる名詞の前では、リエゾンやアンシェヌマンがおきます。
!冠詞を聞いて単数か複数かを判断。必要に応じてsをつけます。

Ex1-3#.m4a

a) ( ) [ ]
b) ( ) [ ]
c) ( ) [ ]
d) ( ) [ ]
e) ( ) [ ]
f) ( ) [ ]




Ex 1-3 解答
a) un stylo ペン
b) une voiture 車
c) des fenêtres 窓
d) un avion 飛行機
e) une église 教会
f) des enfants 子供

2012年03月29日

著書刊行『〈彼女〉という場所−−もうひとつのマラルメ伝』

著書が刊行になりました。『〈彼女〉という場所−−もうひとつのマラルメ伝』永倉千夏子、水声社、2012年3月23日。

そして、本日(2012年3月29日)読売新聞朝刊に、広告が出ました。

本書で扱われるのは、言ってみれば、「詩と愛のあいだ」。19世紀後半のフランス象徴派詩人ステファヌ・マラルメについて、その後半生唯一にして最大の〈恋人〉とされる女性メリー・ローランとの交際と同時期の諸状況、および同時期に制作された作品群との間に展開された文学的生涯を読み解くものです。
多くの韻文作品について、初出形や草稿段階の全訳(原文付き)が掲載されているほか、テオフィル・ゴーティエの『キャピテン・フラカス』他、バンヴィルやテニスンなど、これまで具体的に影響関係を指摘されることのなかった多数の作品との照応の考察にもページを割いています。散文をも含む膨大な考察を通し、その文学的生涯の最初と最後に現れる長詩『エロディアード』が「舞台」断章から総合詩篇『エロディアードの婚礼』へと再び懐胎されることとなった謎へと迫ります。
文学にとってモデルとは何か。芸術にとって対象とは何か。制作とはいかなる行為であるのか。これら根本的な問題をもっとも真摯に問い、かつ実践した詩人の生涯を、可能な限りそれに寄り添う形で問い返した一冊です。



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2012年03月05日

翻訳書刊行『チェルノブイリ ある科学哲学者の怒り』

このほど、翻訳書が出版されることになりましたので、お知らせします。
邦題は『チェルノブイリ ある科学哲学者の怒りーー現代の「悪」とカタストロフィー』。明石書店より2012年3月10日刊行です。
いかに『訳者あとがき』から抜粋を掲載するように、著者は科学哲学者で、この種の本にありがちな「不安をあおる」ものでも「偽りの安心を与える」ものでもありません。何をどう考えたらよいのか、考えさせてくれる本です。





<訳者あとがき>抜粋

 本書は、Retour de Tchernobyl ----- journal d’un homme en colère(Seuil, 2006) の全訳である。原題を直訳するなら、『チェルノブイリより帰る−−怒れる男の手記』となろう。著者ジャン=ピエール・デュピュイは科学哲学者。自身が語るところによれば、理工科学校[ルビ:ポリテクニーク]、鉱山学校[ルビ:ミーヌ]、上級公務員というエリートコースを進み始めたところで疑問を抱き、「脱線」の過程を始めたという。人間的事象の総体を考察しきることができない合理主義的思考の根本的欠陥とそこから生じるさまざまな綻びが現代という時代を覆っているという認識は、政治思想家ハンナ・アーレントに負うものである。イヴァン・イリイチ、ルネ・ジラール、ジョン・ロールズらに影響を受けた。彼自身の言及するところからは、遠くハイデガー、ヤスパース、ベルグソンなどの系譜に属すると言うこともできるだろう。科学技術とりわけ核の時代を見据える視点は、アレントの最初の夫であるギュンター・アンダースを受け継ぐものである。現在はプロフィールにもある通り、理工科学校社会・政治哲学名誉教授、スタンフォード大学教授、フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)倫理委員会委員長をつとめている。二〇一一年ロジェ・カイヨワ賞受賞。(…)

 本書は、一九八六年のチェルノブイリ原子力発電所事故後二〇年の節目に開催されたウクライナのタラス・シェフチェンコ大学夏期セミナーに参加した著者が、当地での見聞とフランスに戻ってから目にした資料や報告における事故の被害評価との落差に愕然とし、その根本的な原因について哲学者としてめぐらせた考察をまとめたものである。それは単なるルポルタージュではなく、また机上の空論でもない。実際にチェルノブイリを訪れたことを「原体験」とするならば、彼が書くのは原体験ではない。彼が書くのは、それを目にしたときにはとらえることができず、その場から離れ、かつ、事後に得られたさまざまな情報と比較し再び体験することではじめて把握しえたものだ。その意味で本書は、ある真に重大な現実的事象についての分析であるとともに、なんであれそのような事象を前にしたとき、真摯な人間の思考が辿る軌跡の証言ともなってくれるであろう。(…)

 本書の提出する問題は、およそ次のようなものだ。(1)チェルノブイリというカタストロフィーは、何であったのか、被害評価を確定するのがかくも難しいのはなぜなのか(被害評価の不確定性)。(2)それを生んだ背景は何なのか(アーレントも言う「短見」に基づく行政システムが生み出すシステム的悪)。(3)それを自己正当化しリスクが現実化してさえ影響関係の有責性を科学的に「排除」する科学的合理性、(4)そのことが一般の人々のとらえる有責性と乖離していることに気づかない、もしくは気づこうとしない科学技術官僚[ルビ:テクノクラート]の道徳的感受性の欠如、などである。末尾および補論で著者は、それでも産業社会の存続のためにしかるべきエネルギーを確保することが不可欠であるとするならば、そのための対価として我々が準備しなければならない想定外リスクをはらむ未来と現在との間に折り合いを付ける術はあるのか、ということも考察している。(…)

 数字が嘘をつかないというのは、虚妄である。なるほど数字は自ら以外の大きさを示したりはしない。しかし、人が読むのは、数値自身ではなく、その大きさが示す意味である。何らかの調査結果が人に示す意味を操作するために、データの数字を改竄する必要はない。データ収集の方法、モデル化の範囲、あるいは計算方法を変えれば、人に「安心」を与える値を出すことは科学的合理的に可能だ。そしてそれを科学的合理的に「不正」だと言うことはできない。より適切な算定方法があると主張することができるだけなのである。(…)

 では、リスクのあるシステムが不可避であるとして、その安全性について我々はどのように考えるべきなのだろうか。とりわけ原子力においては「絶対的安全」が求められるとしても、デュピュイも言うように、リスクは決して完全なゼロにはならない確率イプシロンすなわちゼロではない極小値となることができるだけだ。それを覆い隠すために情報の不透明性が生じる。科学技術官僚〔ルビ:テクノクラート〕による裏付けを与えられた「安全性」を「信ずること」が求められる。こうした「安全性の信仰」も、核抑止力における「行使されず効力を持つ力」も、本質的には、核という「本来の神に遅れてやってきた」超越性の二次的神聖化であり、ルネ・ジラールの言う「聖なるもの」と同じ形で成立していることをデュピュイは指摘する。その意味で彼の「【覚醒せる】破局論」とは、悪意不在のところに現れるシステム的悪という現代の「悪」と常に不発であることを求められる核という現代の超越性、この二つの根本的欺瞞に【光を当てる】ものなのだ。(…)


デュピュイの指摘する問題は次のことだ。巨大なシステムが、きわめて確率は小さいが、起こったならば未曾有の被害を引き起こすカタストロフィーを予防するためには、しばしば莫大なコストがかかる。いかなるコストでなら、それを予防することが「採算に合う」と言えるのか。そのコストをかけてカタストロフィーを予防することと、誰も手放したがらない産業社会の繁栄を両立させることは可能か、ということだ。しかも、完全に予防されてしまったならば、そのカタストロフィーは「起こるはずのなかったもの」となってしまう。そうなってしまったら、そのカタストロフィーは「コストをかけて予防する価値のあるものだったのか」ということになってしまうのだ。
 だがこれは、とりわけ原子力については、一企業の責任でありながら、それにとどまるものではない。一企業の支えうるバランスシートの枠組みが壊れたときは−−それがカタストロフィーだ−−我々自身がそれを払うこととなる。経済的に、環境的に、それとも我々自身か我々の子孫の生命をもって。原子力を選択するということは、我々自身も大なり小なりそのリスクを引き受けるということなのである。

 「カタストロフィーのリスクを十分完全に取り除くことは可能か」という問題に対して、デュピュイは断定的な解決法は示していない。むしろ、それを取り除くことはできないということが、哲学的に言えば我々人類の本源的恐れなのだ、ということを見すえているように思われる。我々はその恐れと共に生きるべきなのだろう。だが、そうであるとしても、当たり前のことだが、回避可能なものは、最大限、回避されるべきだ。望ましくはないが起こってしまったなら被害が最小になるような備えも必要だ。そして現代日本ではもっとも難しいことかもしれないが、備えのないところに起こったカタストロフィーを可能な限り穏やかにランディングさせるために「創造的対応力」がなくてはならないのではないだろうか。「システム的悪」を補ってあまりある「道なきところに道をつくる能力」を、人間が持っていてほしい。必ずやあるはずのその能力を、社会が窒息させないでほしい。それが「パンドラの箱」の中の「希望」となるであろう。そう願っている。(…)
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2011年04月06日

特別講義:フランス語の音韻体系とパフォーマンスにおける注意

                 特別講義

         フランス語の音韻体系とパフォーマンス上の注意

(発音記号が表示できないため、便宜的にカタカナで説明します)

<母音>
 フランス語の母音の種類は、日本語よりたくさんあります。
 発音する時の舌のもっとも高い部分がどこにあるかにより、前舌母音、後舌母音、両者の中間である複合母音の3つに分かれ、さらに鼻母音があります。実際に発音する時は「どこで音を出しているか」を意識するとよいでしょう。

〜ア〜
 日本語の「ア」に当たるものは、前舌のアと後舌のアに分かれます。しかし最近では後舌のアは廃れてきているので、不自然でない限り、アを見たら明るくはっきり発音すればよいのです。パフォーマンスでは特に、ぱかっと口を縦に開きましょう。本来後舌である「ア」は、単語の中でも普通に話している中では明るくはっきりさせにくい位置にあるので、明瞭に発音させやすいところをはっきり明るく出せば、そうでないところは相対的に、自然と、本来の発音記号に近い所に落ち着くはずです。

〜エ〜
 日本語の「エ」に当たるものも、2つあります。狭いエと開いたエで、どちらも前舌母音に含まれます。狭いエは、通常、口を横に引いて鋭く発音するよう、指導されます。開いたエは、「鋭く」という意識を持たず、普通に発音すればほぼ大丈夫です。ただ、狭いエで口を横に引くのは、実は「横に引くことが目的」なのではなく、「唇周辺に緊張感を作り、それに世で鋭い音を出す」ことが目的なのです。普通は、唇を横に引くことでその状態が得られやすいので、そう指導されます。しかし、横の緊張感のみを意識すると音がこもりやすいので、前方に声を出すパフォーマンス向きではありません。また、知的な話し方をするフランス人をよく観察すると、鋭いエの緊張感は、横ばかりでなく縦方向にも働き、それによって鋭い音をきれいに前方に押し出していることが分かります。できるだけ早く、横+縦の緊張感を持って鋭い音を出すエをマスターしましょう。

〜イ〜
 フランス語のイは、1つしかありません。鋭い前舌母音です。これも通常は、唇を思い切り横に引くと指導されます。鋭いエと同じ原理です。しかしこれも鋭いエと同じ理由により、できるだけ早く、横+縦の緊張感を持って鋭い音を出すイをマスターしましょう。エよりも鋭くするこつは、口を小さく細くすること、パフォーマンスの際は、鼻の頭にしわを寄せ、鼻骨に共鳴を当てることです。

〜オ〜
 フランス語のオは、2つあります。どちらも後舌母音です。狭いオと開いたオです。開いたオを普通に言っておいて、狭いオの方で弁別特徴を付けます。唇をより狭く丸くすぼめて前に突き出します。そうすると顔が前方に向かって縦長になります。口の中も前後に縦長になります。この状態で唇と喉の奥を緊張させて奥で「オ」と言います。うまく緊張させられない人は、「ゥオ」で練習して「オ」に移行してみましょう。

〜ウ〜
 フランス語には、日本語の「ウ」と同じ口形、同じ場所で出す音はありませんが、カタカナの「ウ」で書かざるをえない音は何通りかあります。
 後舌のものは1つで、綴り字ではouで表されます。狭いオよりさらに唇をすぼめて突き出し、奥から「ウ」と言います。
 この唇をさらに限界まですぼめて突き出し、音の場所を前舌にすると、とても狭く鋭い「ユ」の音になります。綴り字ではu、発音記号では[y]で表されます。これは「u françaisフランス語のウ」と言います。
 一方、唇の緊張を解き、口の中の空間を丸く広く確保するために少しだけ口先を丸めて前舌上方の広い空間に声を響かせる曖昧な「ウ」もあります。これは、綴り字では、アクサンがなく「エ」と読まないeの字(音節の最後にあって後ろに子音字を伴わないもの)、発音記号では、eを上下逆さまにした記号で表されます。これは、そのままでは強勢を置くことができず声が前に出にくいので、パフォーマンスにおいては唇を尖らせた「ウ」に近づけます。
 この曖昧な「ウ」の唇をもう少しすぼめ、口の中の広い空間は残した、オとウの中間のような音もあります。発音記号では、oにスラッシュをかぶせた、「空集合」(?)のような記号で表されます。さらに、そのまま唇のすぼめ感を残して口を縦長にしてアとウの中間にする音もあります。こちらは発音記号では[œ]の記号で表されます。どちらも、このままでは声が前に出ないので、パフォーマンスでは、前者はオまたはウ、後者はウまたはアに近づけます。

〜鼻母音〜
 フランス語の鼻母音は、4種類あります。
(1) 後舌の狭い「オ」の口形を作ります。唇をすぼめて突き出し、奥から出す「オ」の音を真上に抜きます。呼気は鼻に抜くので鼻母音と呼ばれますが、共鳴は真上に抜いて頭蓋骨全体に響かせます。これは普通に話す際もパフォーマンスの際も変わりません。カタカナでは「オン」としか表記できませんが、2つの音ではなく1つの音です。
(2) 同じ要領で、抜く角度をやや斜め前方に倒して、「ア」と「オ」の中間の音を鼻母音にするつもりで発音すると、後舌の「ア」を鼻母音化した音になります。
(3) 同じ要領で、抜く角度をさらに倒して、「ア」と「エ」の中間の「ア」に近い音を鼻母音にするつもりで発音すると、[œ]を鼻母音化した音になります。
(4) 同じ要領で、抜く角度をさらに倒して、「ア」と「エ」の中間の「エ」に近い音を鼻母音にするつもりで発音すると、「開いたエ」を鼻母音化した音になります。英語のcatの母音をややゆるめた音を鼻母音にするつもりで、頬骨を上げ、頬骨と鼻骨に共鳴させるときれいな音になります。


<子音>
〜閉鎖子音(破裂音)〜
 両唇を合わせて破裂させ、無声のものが[p]、有声で発するものが[b]。
 舌先と歯を合わせて破裂させ、無声のものが[t]、有声で発するものが[d]。
 舌の奥と軟口蓋を合わせて破裂させ、無声のものが[k]、有声で発するものが[g]。

〜狭窄子音(摩擦音)〜
 下唇と上前歯を合わせたまま呼気を通して摩擦するもののうち、無声が[f]、有声が[v]。
 歯茎に舌を近づけ(接触させない)、狭くなったところで呼気を摩擦するもののうち、無声が[s]、有声が[z]。
 舌先よりやや真ん中に近い部分を持ち上げて硬口蓋との間を狭め、狭くなったところで呼気を摩擦するもののうち、無声が「シュ」、有声が「ジュ」。[s]、[z]との区別が苦手な人がいるので注意しましょう。

〜鼻子音〜
 閉鎖音の[p]、[b]を破裂させず鼻腔に呼気を通すと[m]。同じく[t]、[d]を破裂させず鼻腔に呼気を通すと[n]。狭窄音の「シュ」、「ジュ」を摩擦させず鼻腔に呼気を通すと「ニュ」。

〜流子音〜
 狭窄音の[s]、[z]の舌先と歯茎を合わせ、その両側の空間から呼気を摩擦させず連続的に流すのが[l]。
 綴り字ではrで表されるのが、もっとも変異体の多い音です(発音記号は表示できません)。一般的な話し言葉では、舌の奥と軟口蓋の間に呼気を通す際にルルッと震わせる音、ないしは、その震えが減少し摩擦に近い音になったものが用いられます。それゆえ、その部分をうがいの要領で震わせる練習をしつつ、震えないうちは摩擦に近い音すなわち[h]をきわめて強い呼気で出すもので代用するとよいのです。
 パフォーマンスの際は、[h]で代用する音は破綻を起こしやすいので、喉鳴りのrまたは(フランス語においても)巻き舌のrを用います。


<半子音/半母音>
 初級文法書ではほとんどの場合、半母音と記載されます。
 母音[i]、[y]、[u]をそれぞれもっと狭めて子音化したものです。
 母音[i]を子音化したものは「や」「ゆ」「よ」の母音をとった部分に当たります。crayon(クレヨン)などの中に現れます。
 母音[y]を子音化したものは、nuit(ニュイ)などの中に現れます。
 母音[u]を子音化したものは、oui(ウイ)などの中に現れます。
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