「すみれ、オペラ座でランデヴー♪」物語篇第1課:解説
<第1課>
・ Pourquoi chantez-vous? Depuis longtemps・・・「pourquoiどうして」。疑問文での語順はいろいろ可能ですが、疑問詞が文頭にあるときは、主語と動詞を倒置することが多いです。倒置しない場合は、疑問詞の後ろに「以下疑問文ですが倒置しません」という印にext-ce queをつけます。「depuis〜前から」「longtemps長い間」。「depuis peu少し前から」、「どれくらい前からdepuis combien de temps?」、「2年前からdepuis 2 ans」など。
・ C’était en France que j’ai appris à chanter・・・C’est 〜 que節で強調構文。étaitはêtreの半過去。「en Franceフランスで」。場所の「で、に」は6パターンあり(後述)。J’ai apprisは動詞apprendreの複合過去。apprendre+不定詞で「〜するすべを学ぶ」。ほかにapprendre+名詞で「〜を知る、学ぶ、習う」、apprendre+que 節で「〜ということを知る、知らされる」。ただし注意!apprendre+名詞/不定詞/節+à人となると、「〜に…を教える、知らせる」。
・ Vous y êtes allée pour étudier la musique?・・・êtes alléeは「aller行く」の複合過去。yは「そこに」という場所を表す代名詞(文法篇「中性代名詞」を参照)。pour+不定詞「〜するために」。「étudier勉強する」。
・ J’allais souvent à la Bibliothèque National.・・・allaisは「aller行く」の半過去。ここでは過去の習慣を表す。フランスの国立図書館については、以下を参照のこと。現在はGallicaというシステムにより、過去の資料のかなりの部分がオンラインで閲覧できる。以前は、ここに通ってリプリント(またはマイクロフィルム)をとるよりほかなかった。コピーができるまでは、手書きの筆写だったのだ!
http://ja.wikipedia.org/wiki/ビブリオテーク・ナショナル
・ Alors・・・「それでは」という副詞。
・ C’était par une rencontre・・・parはここでは前置詞「〜による」。「rencontre出会い」。étaitはêtreの半過去。直訳は「それはある出会いのせいでした」
・ Pardon, monsieur.・・・pardonは「すみません」に当たるとても便利な言葉。ここでは人を呼び止める(注意を喚起する)のに使われている。その他、例えば混んでいる場所などで「すみません、通ります」などのように、予め軽い無礼を詫びる、などのときにも使える。語尾を上げると、「すみません、もう一度言っていただけますか?」のように、相手の言葉を確認できる。
・ La sortie, s’il vous plaît.・・・ほしいもの、知りたいものを言って、英語のpleaseに当たるs’il vous plaîtをくっつける。そうしてよいやら分からないときに使うと、結構何とかなる。「sortie出口」。出口はどこにあるか分からないだけで、建物には必ずあって確定しているので定冠詞を使っている。
・ Je crois que je me suis perdue・・・Je crois que+節は、英語のI think thatに相当。me suis perdueは代名動詞「se perdre迷う」の複合過去。
・ Ce sera ennuyeux.・・・ennuyeuxは「退屈な」という意味もあるが、ここでは「困った/面倒な/煩わしい」。Ce seraはC’estの単純未来。ここでは推測を表す。
・ C’est interdit au public ici・・・「interdit禁止されている」。「au public一般の人には」。「iciここ」。
・ Je vous accomagne.・・・「accompagner一緒に行く/連れていく/送っていく」。vousはここでは、「あなたが」ではなく「あなたを」という意味の直接目的語。フランス語では、目的語代名詞は動詞の前に出る。nousとvousは主語も目的語も同じ形なので、注意。
・ Par ici・・・直訳すると「ここを通って」。レストランなどで案内してくれるとき、日本語では「こちらでございます」というが、フランス語では「ここを通って(行ってください)」と言っているわけだ。
・ Certes, c’est ouvert de 10h à 17h tous les jours・・・「certes確かに」。「ouvert開いている」。「de ~ à … 〜から…まで」。hは「heure(s) 時」の略。「tous les jours毎日」。
・ on peut voir l’intérieur de l’Opéra・・・主語のonは、一般的な人を表す人称代名詞。「私たち」、「みんな」、「誰か」などの代わりをする。活用は3人称単数。peutはpouvoir+不定詞「〜することができる/してよい」。英語のcanとmayに相当。「intérieur内部」。
・ les endroits qu’on peut voir・・・endroitは一般的な「場所」を表す。英語で一般的な場所を表すplaceと同じ綴りのフランス語は、むしろ「スペース/空間/席/地位/順位/広場」などを表すので、仏作の際は注意が必要。queは目的格関係代名詞(文法篇参照)。「voir見る」。
・ l’Opéra・・・ここでは「オペラ・ガルニエ」のこと。以前はオペラとバレエの両方が上演されていたが、新オペラ座(オペラ・バスティーユ)ができてからは、オペラの上演はそちらに移った。しかし、「ガルニエでオペラを」とのファンの要望も強く、現在ではガルニエでも小規模オペラはいくつか上演されている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ガルニエ宮
・ Comment est-ce que vous avez pénétré jusqu’ici?・・・「commentどうやって」。手段、方法、様態などを聞く疑問詞。うしろにest-ce queをつければ主語動詞を倒置しなくてOK。avez pénétréは「pénétrer入り込む、侵入する」の複合過去。「jusque〜まで」。「ここici」。jusqueは、後ろが副詞以外のときは前置詞を伴う。「駅までjusqu’à la gare」、「朝までjusqu’au matin」、「最後までjusqu’à la fin」など。
・ Je ne sais pas.・・・saisは「savoir知っている」の直説法現在。動詞をne〜pasで挟むと否定文。
・ Ce n’est pas grave.・・・多少の支障はあっても「重大grave」ではない、というニュアンスの「たいしたことはない」。
・ mais la sortie n’est pas très près・・・「maisでも」。「près近く」。「〜の近く」はprès de〜。「この近くprès d’ici」、「映画館の近くprès du cinéma」など。
・ Allons en bavardant pour tuer le temps・・・allonsは「aller行く」の命令形の一つ。Let’sに当たる。en bavardantは、「bavarderおしゃべりをする」のジェロンディフという形。英語の分詞構文のようなもの。ここでは「〜しながら」の意味。「tuer le temps時間をつぶす」。
・ Voilà un escalier・・・Voilàは目の前のものをさして「ほら〜だ」と提示するときに使う。「階段escalier」。
・ Voulez-vous monter?・・・ここでは倒置疑問文になっているが、Vous voulez+不定詞で、「〜はいかがですか?」という勧誘の表現。voulezはvouloir(英語のwantに相当)の直説法現在。
・ Il y a la sortie?・・・Il y a +名詞で、「〜がある」。普通は名詞に不定冠詞や部分冠詞を伴って、未知のものを提示することが多いが、ここでは前述の通り「出口」は、建物には決まってあるものなので、定冠詞になっている。謎の紳士は、すみれちゃんをぶらぶらつれ回しているのだが、すみれちゃんは出口に向かってくれていると無邪気にも信じているのである。地下にいるわけでもないのに、階段を上って出口に出るものだろうか;;
・ Si vous aviez des ailes・・・「siもし」は、英語のif節に当たる。aviezは「持っているavoir」の半過去。si+半過去は、英語の仮定法過去の条件節に当たる。現在の事実に反することを仮定している。「きみにailes翼があったら(屋上は出口なんだがね)」というわけだ。
・ On a des abeilles là-haut・・・onは前述の通り、不特定の人を表す。「飼っている」は「持っているavoir」でOK。「abeille蜜蜂」。「あの上にlà-haut」。
・ Il y a beaucoup de jardins à Paris・・・Il y aは前述の提示の表現。「〜に…がある」と使う。beaucoup de +無冠詞名詞で「たくさんの〜」。数えられる名詞は複数形にする。「jardin庭」。「〜に」で場所を表すとき、都市名は無冠詞で前置詞à。
・ beaucoup de fleurs, beaucoup de miel・・・「花fleur」、「蜂蜜miel」。fleursは数えられるので複数、mielは数えられないので単数形。
・ On vend des pots de miel comme souvenir de l’Opéra・・・vendは「vendre売る」の直説法現在。「potビン」。un pot de〜で「一ビンの〜」。ビンといっても、壷やかめに近いもの。ボトル状のものはune bouteille。comme+無冠詞名詞で「〜として」。名詞に冠詞がついていると「〜のような/ように」。「souvenirお土産」。
・ C’est bon?・・・bonはいろいろな意味があるが、ここでは「おいしい」。謎の紳士の無駄話に天然で答えているすみれちゃんである。
・ pas mal・・・「悪くない」という決まり文句。では良い意味なのか悪い意味なのかというと、むしろ良い方である。pas spécialは「特にすばらしいわけではない」
・ Le miel est bon pour la gorge・・・「bon pour …〜によい」。「gorge喉」。
・ Ah bon?・・・ごく普通の相づち。ごく普通ということは、さほど気のない返事ということだ。
・ Savez-vous quand on a construit ce bâtiment?・・・倒置疑問文になっているが、savezは「知っているsavoir」の直説法現在。後ろは接続詞「quandいつ」の率いる節なので、英語のDo you know when〜に相当。a construitは「construire建築、建造する」の複合過去。「bâtiment建物」。ceは英語のthis, thatに相当する指示形容詞(遠近の区別はない)。onは一般的な人を表す主語なので、できるだけ訳さない。日本語では、受け身や自発などで工夫して訳してみると良い。
・ c’était au dix-neuvième siècle?・・・c’étaitはC’est(英語のThat isに相当)の半過去。「siècle世紀」。〜世紀というときは、序数詞を使う。1以外は基本的に数詞にièmeをつけると序数詞になる(文法篇「数字」の項を参照)。19はdix-neufだが、序数詞ではdix-neuvième。。ちなみに20はvingtで「20世紀」はvingtième siècle。21はvingt et un。「1un / une」に対応する「一番目」はpremier / premièreだが、10の位や100の位がつくと〜unièmeとなる。それゆえ「21世紀」はvingt et unième siècle。発音は(これに限らず)以下のサイトで聞くことができる。世の中は、日々、便利になっているものだ。
http://ja.forvo.com/word/vingt_et_unième/
・ C’est ça・・・「そうです」という相づち。C’est celaとも言う。ceもçaもcelaも指示代名詞。
・ sous le second Empire・・・sousは英語のunderに相当。数詞の2はdeuxで、「2番目」はdeuxièmeだが、secondも用いられる。発音は「スゴン」。女性形はsecondeで「スゴンド」。男性形で後ろに母音または無音のhで始まる単語が続くときは濁音ではなく清音のtの音でつなげる。それゆえ「第二帝政」は「スゴンタンピール」と読む。以下のサイトで聞くことができる。
http://ja.forvo.com/word/second_empire/#fr・ Vous savez quelques détails du projet d’Haussmann?・・・倒置疑問文にはなっていない。フォーマルでない会話ではこれで問題ない。「いくつかのquelques」は不定形容詞。単数形では「ある程度の」、「何らかの」。「détail詳細」。語尾がailで終わるものは複数形がauxとなることが多いが、これはsをつけるだけ。「projet計画」。オスマン計画については、コラム欄、また以下のサイトを参照のこと。
http://ja.wikipedia.org/wiki/パリ改造
・ Oui, un peu.・・・un peuは、英語のa few, a littleにあたる、「少し」を「少しある」と肯定的にとらえている。un peu de〜で「少しの〜」。peuとすると、「少ししかない」と否定定なとらえ方になる。
・ Vous savez assez bien, tandit que vous avez peu de sens de l’orientation.・・・savezは「savoir知っている」の直説法現在。「assez bienかなりよく」。tandit queは「一方」という意味の接続詞。「sens de’orientation方向感覚」。peu deなので、「方向感覚が少ししかない」と言っているわけだ。
・ Je ne me trompe pas dans le livre, mais je me tromprai très facillement dans la rue・・・Je ne me trompe pasは、代名動詞「se tromper間違える、思い違いをする」の直説法現在否定形。「livre本」。je me tromperaiはse tromperの単純未来「間違えるだろう」。「très facillementとてもやすやすと」。「dans les rues道で」。rueは、つくりの統一されたファサード(全面)の建物が両側に建ち並んでいるイメージの普通の道。両側が背が高いので、「dans中に」というニュアンスのある前置詞を使う。一方、「avenue大通り」は、両側を囲まれているという感覚がないので、「sur上に」を使い、sur l’avenueとなる。
・ Et vous faites une visite guidée dans les secteurs interdits・・・「faire une visite guidéeガイド付き見学をする」。visite accompagnéeともいう。「secteur区域」。「interdit禁じられた」。
・ Vous avez de la chance・・・「avoir de la chance運がいい」。de laは部分冠詞。「いくらかの運を持っている」というイメージ。
・ C’est grâce à vous・・・「grâce à〜のおかげ」(良い意味で)。悪い意味で「〜のせい」という時は、à cause de。vousは前置詞の後ろなので強勢形。
・ C’est exactement ça・・・「C’est çaそう」に副詞「exactementまさに」がついている。
・ comme ça・・・「こんなふうに」
・ Vous avez raison…absolument・・・avoir raisonで、「〜の言うことは正しい」。「absolument絶対に、全面的に、完全に」。
・ Vous aimez chanter?・・・「aimer+不定詞 〜することが好き」。「chanter歌う」。
・ Chantez・・・chanterの命令形の一つ。
・ Il n’y a personne.・・・「Il y a〜がいる、ある」。ne〜personneで「誰も〜ない」という否定。
・ Puis-je chanter quoi?・・・puisはpouvoir(+不定詞「〜できる/してよい」)の直説法現在で、主語jeを倒置する時のみ用いられる。quoiは、疑問詞「何をque」が文頭以外で用いられる形。
・ N’importe quoi・・・「何であれ」
・ Ce que vous aimez.・・・ceは形式名詞的に「〜なこと」を表す指示代名詞で、先行詞として用いられている。queは目的格関係代名詞。
・ Est-ce que vous avez déjà pris des leçons vocales?・・・Est-ce queは、以下疑問文、倒置しませんというしるし。vous avez déjà prisは、動詞「とるprendre」の複合過去に「déjàすでに」という副詞のついた形。「すでに〜したことがあるか」と過去の経験を聞いている。「leçonレッスン」。「vocal声の」。
・ Jamais・・・動詞をne~jamaisで挟むと「決して〜ない」という否定文。Je n’ai jamais pris…を略している。
・ Qu’est-ce que c’est que ça, ces notes d’agrément?・・・Qu’est-ce que c’est? あるいはQu’est-ce que c’est que ça?で「それは何ですか?」。「notes d’agrément装飾音」。note d’ornementとも言う。文法的には、疑問形容詞を用いてQuelles sont ces notes d’agrémentなどとするのが正しい。
・ Je n’en ai jamais vu la partition・・・J’ai vuで「voir見る」の複合過去形。ne~jamaisで「決して〜ない」という否定形。enは代名詞の一種で、直接目的や関節目的を表す人称代名詞で受けられないものを受ける代名詞の一つ。文法的には、性数の区別がないので、中性代名詞という。ここでは、Je n’ai jamais vu la partition [de cette chanson]. 「私は[この歌の]楽譜を見たことがありません」の[ ]内をうけている。「de+□」をうける、というのがenの特徴である。
・ Nana Mouskouri a chanté comme ça, je crois・・・ナナ・ムスクーリはギリシア出身のポピュラー歌手で、政治活動も行っている。Plaisir d’amourは、Martini (1741-1816) 作曲でPiacer d’amorとしてイタリア古典歌曲集に収録されているが、彼は実はイタリア人ではなくドイツ人で、フランスで活動するに際し、音楽家と言えばイタリア人の方が通りがよかったため、イタリア名を用いていたもの。歌詞もイタリア語とフランス語の両方が掲載されているが、フランス語で歌われることの方が多く、また、ポピュラー歌手によって歌われることも多い。すみれちゃんが聴いたのはポピュラー・バージョンの一つなのだった。しかしすみれちゃんは日本で子供の頃ヴァイオリンを習っていたため、音のとり方、リズムの刻み方、装飾音が妙にクラシックっぽく、「声楽をやったとは思えない発声だけど、この子なんなの?」と謎の紳士が不思議がったわけである。「Je croisと思います」は、英語のI thinkに当たる。
・ C’était mal?…Non, pas mal・・・「mal下手」。
・ Excusez-moi・・・「すみません」。
・ On a fait un détour pour vous laisser chanter・・・「faire un détour回り道をする」の複合過去。pour+不定詞で「〜のために」。不定詞であるlaisserは使役動詞の一種で「〜させておく」。放任動詞とも言う。「vousきみを」「chanter歌わ」「laisserせておく」がこのような語順となっている。
・ Arrêtez・・・arrêterは他動詞「〜を止める/やめる/中断する」も自動詞「止まる/やめる」もあり、s’arrêterで代名動詞「止まる/やめる/休む」にもなる。ここでは自動詞の命令形。
・ Alors, prenons un raccourci・・・「alorsそれじゃあ」。prenonsはprendre (=take) のnousに対する命令形。「prendre un raccourci近道をする」。
・ On est au-dessus de la scène・・・「scène舞台/ステージ」。au-dessu deは英語のaboveに当たり、「〜の上の方に」。英語のonにあたる「〜の上に」はsur。二人はステージの天井裏にいるのだ。
・ Voilà le plafond célèbre peint par Chagaal, tout près・・・「Voilàほら〜だ」。「plafond天井」。「célèbre有名な」。「peint描かれた」。「par〜によって」。「tout prèsすぐそこ」。toutはprèsを強調している副詞。シャガールはロシア(現ベラルーシ)出身の画家。1960年から1964年にかけて、当時の文化大臣アンドレ・マルローの依頼により、天井画を制作。もともとあったルヌヴの天井画の複製は、オルセー美術館におさめられている。
・ Ca me fait frémir・・・Ca(セディーユ付き)は指示代名詞「それ」で主語となっている。fait:faireは使役動詞「〜させる」。「me私を」「frémirふるえ」「faireさせる」がこの語順となっている。
・ On va tomber・・・va:aller。動詞allerはここでは「行く」ではなく、aller+不定詞で近接未来という時制を表している。これから「tomber落ちて」しまう=「落ちそう」ということだ。すみれちゃんは下を見て怖がっているのだが、謎の紳士は下界には全く興味を示さず、二人の話はかみ合っていない。謎の紳士は、ひとり、別世界を見て唱い始めるのである。
・ Maestro, qu’est-ce que vous venez de chanter?・・・歌を聴いて初めてすみれちゃんは、紳士が「ただ者ではない」ことに気づき、Maestroと呼びかけるのだった。qu’est-ce queは「何を」を聞く疑問代名詞で、後ろには倒置されない平叙文を伴う。vous venez de chanterのvenezは動詞「venir来る」だが、ここではvenir de + 不定詞で、近接過去「〜したばかり」という時制を表す。
・ ヴェルディVerdiの『仮面舞踏会Un ballo in maschera』から「Eri tu che macchiavi quell’animaお前こそ心をけがすもの」・・・YouTubeでの画像は、Piero Cappuccilli (1929-2005) のもの。カプッチルリはイタリア出身で、20世紀後半最高のヴェルディ・バリトンの一人とされている。謎の紳士がオペラ座の天井裏からこのように唱ったとすれば、見学中の観光客などは、オペラ座の怪人それとも天井からの声かと思ったであろう。
・ C’était cette rencontre qui vous a fait chanter?・・・C’est … qui主語を強調する強調構文の半過去形。「rencontre出会い」。強調を省けばCette rencontre vous a fait chanter. ここでも動詞faireは使役動詞。直訳は「この出会いがあなたを唱わせた」。
・ Il vous a séduite・・・動詞は「séduire魅惑する」の複合過去。過去分詞はséduitだが、直接目的語「vousあなたを」が動詞の前にあり、vousはすみれ先生(女)であるので、過去分詞が性数一致してséduiteとなっている。
・ C’est romantique・・・「それはロマンティックですね」が直訳。
・ j’ai commencé à prendre des leçons une fois par semaine・・・動詞はcommencerの複合過去。commencer à + 不定詞で「〜し始める」。「prendre des leçonsレッスンをうける」。「une fois par semaine1週間に一度」。
・ Sa voix laisse tomber amoureux・・・saは所有形容詞「彼の/彼女の」。「voix声」。動詞laisserは使役(放任)動詞。「tomber amoureux恋に落ちる」。直訳は「彼の声は恋に落とさせる」。「誰を」とは言っていないのである。そこでMasaが「Il vous a bien séduite! 彼はあなたをちゃんと魅惑したのですね」とダメをおすのだが、すみれ先生は「par sa voix声によってね」とかわしている。すみれ先生の目は今もハートなのだが…???